台湾の朝
皆様おはようございます。
稲尾です。
この日は私の人生で初めて、台湾のホテルで目覚めました。
ホテルのラウンジで朝食を食べたのですが、台湾はとにかく飯がうまいですね。
私の隣のテーブルで朝食を食べている白人男性が、食べるたびに何度もナプキンで口周りを拭いているのを見てここは外国だと再認識しました。w
台湾2日目は、午前中に台湾の会社さんと打ち合わせを行い、午後の便で関空に帰ります。
守秘義務の関係上、どんな話をしたのかについては申し上げられませんので、ここでは割愛させていただきます。
台湾のチキンがくそうまい!
さて、打ち合わせも終わったところで再度桃園空港です!
飛行機に乗る前に、桃園空港の第2ターミナルにあるチキン屋さんで昼食を取ります。


台湾ではチキンばかり食べていますが、台湾料理は何を食べてもとてもおいしいですね。
地元の福山市に、私がよくいく中華料理屋さんの「西華園」というお店があります。
このお店は”たまごチャーハン”が人気のメニューで私もよく食べに行っているわけですが、このお店も台湾の方が経営・運営されているんですよね。(台湾ラーメンとかもあるよ)
結構夜遅くまでやっているお店なので、気になる方はぜひいかれてみてください。
日本にいて台湾の料理をたらふくたべられます!

みんなでチキンを食べていたら、仲間のひとりが台湾といえばタピオカっしょ!とタピオカティーを買ってきてくれました。
台湾のタピオカってかなりいろんなフレーバーがあるんですね。初めて知りました。
帰国
さて、昼の腹ごしらえもすんだらピュッと関空へひとっとびして帰国します。

今回私は、人生初の国外へ行ったわけですが、いろいろドタバタしながらもなんとか目的地にたどり着いて目的を果たすことができました。
VISIT TAIWAN DAY①でも述べましたが、これまで私はめっき屋をしている中でまともに長期休暇をとれたことがありません。
例えばお盆やお正月で1週間休めたとしても、実際は毎日朝方か夕方のどちらかに現場に行って様子を見ねば何があるかわからないという中で生きてきました。
生まれてこの方、このような形でずっと私の人生に影響を与え続けた日本アートという会社をこれから畳んでいくことに対しては、自分の中で様々な葛藤や憤りがありました。
正直、今なおいろいろ思う事はあります。
しかし、こうして台湾という外国を訪れることができたのも、会社を畳むという苦渋の決断をできたからであり、それに伴って私に顧問契約を申し出てくださった方々のお誘いあってこそなのです。
今回の台湾訪問で得た経験は、必ずこれからの私の糧になると確信しています。
特に、日本円がここまで紙屑になっているという実感は、海外に行かなければ絶対に体感することはなかっただろうと思います。
今回の台湾渡航では、こういった様々な悔しさをバネにして、これまで以上にさらに大きな事を成し遂げるぞ!という自分の気持ちを改めて再確認した人生初の海外渡航でした。
おわりに
さて、最後になぜめっき屋さんは長期休暇というものをほとんど取れないのか?について言及します。
簡単に答えを言うと、めっき屋さんは常に
- 特定のめっき液の温度を常にある一定の温度に保っておかなければならない。
- めっき液のメンテナンスを休みの日でも行わなければならない。
という物理化学的な制約があるからです。
ではなぜこういったことをする必要があるのかといえば、お客さんが持ち込んだ製品の表面状態が悪いと、めっき液が汚染されてしまうからです。
「めっきするのに製品を洗浄するんはめっき屋の仕事なんじゃし、めっきすりゃあ表面がきれいになって光沢出るもんなんじゃけー、表面状態の良し悪しなんか関係なかろーが!」
と思われている方もいらっしゃるでしょうし、
「めっきがええ様にいかんのはめっき屋が悪りーけーよ!めっき屋が手を抜きょーるんじゃろーが!」
「持ち込んだ製品の表面状態がちーと悪りーぐらいで文句ばーゆーな!こっちが仕事出してやっとるんじゃけえ再めっきするときは全部はおみゃーら(めっき屋)持ちでするんがあたりまえじゃろうが!」
といった主張をした結果、めっき屋さんに仕事を受けてもらえなくなった経験のある方もいらっしゃると思いますので、どういう事なのかめっき屋の視点から解説します。
例えば、お客さんが鋳物やロストワックスの製品を持ってこられたとします。
ご存じの方には周知の事実ですが、鋳物やロストワックスの製品表面には以下のような鋳造欠陥(不良個所)が同時多発的かつ複合的に発生していることがほとんどです。
(正直、めっき屋の視点から見れば鋳造欠陥がない鋳物製品やロストワックス製品を探すほうが大変。)
- 非金属介在物(inclusion)
鋳型材(セラミック)が溶湯に混入して不揃いな凹状欠陥を発生させる
- 引け巣(shrinkage)
鋳物表面から内部に向かって発生する空洞
- ブローホール(blow hole)
内部が酸化している凹状欠陥
- ピッティング(pitting)
ブローホールや引け巣より小さい凹状欠陥
- 結晶粒度欠陥
金属結晶の大きさが一定でなく、部分的に粗大化
- 偏析
素材中の溶質金属が、鋳物表面の結晶粒界に凝集し肥大化
これらの鋳造欠陥がめっき屋さんに与える悪影響を以下に説明します。(▶をクリックすると詳細が見れます)
引け巣から油が染み出してめっき液を汚染し、めっきを不良にさせる。
鋳物やロストワックスでは、複雑な内部空洞形状を持つ引け巣が大小さまざま発生していることがほとんどで、引け巣の内部に防錆油やワックス(変質物含む)が残留している。
どんなに前処理での脱脂洗浄の種類を増やし回数を重ねたとしても、引け巣内部の油分を完全に除去することは物理化学的にほぼ不可能なので、めっき中に必ず引け巣内部から油分が染み出す。
その結果、以下の不良と問題を引き起こす。
- 染み出して広がった油によってめっき液がはじかれ、引け巣周辺がめっきが不良や無めっきになる。
- 染み出した油でめっき液が汚染される。
- 染み出した油がめっき液の水面に浮き、他の製品に付着することで二次被害を産む。
めっき液が油で汚染されてしまうと、いったんすべてのめっきを止めてろ過を行って油を完全除去しなければならないが、めっき後にその製品を処理する後処理液(例:亜鉛めっき後のクロメート)があれば、だいたいそちらにも同様の症状が発生している。
油を除去するためにろ過を行うと油以外の成分も同時に吸着除去され品質に悪影響が出るが、なにがどれくらい減ったかはその時々で違うのでメーカーにメンテナンスを有料で依頼せざるを得ず時間とコストがかかるうえ、こういった場合でもめっき液を自社で管理・メンテナンスしきれるところは少ない。
また、後処理(例:クロメート)の液はほぼろ過できないので全交換するしかなく、こちらもかなりコストがかかる。
鋳造欠陥が原因で発生するめっき不良に対して再めっきを要求するのであれば、依頼者自らが進んで”めっき剥離費”と”再めっき費”を支払うことが鉄則といえる。
非金属介在物がめっき液を汚染し、めっきを不良にさせる。
鋳物やロストワックスに用いる砂型の砂が、流し込んだ金属に巻き込まれて表面で固まることによって発生する。
砂は金属よりも圧倒的に不導体化しやすい性質を持つため、砂が表面に残っていればそこが100%の確率でめっき中に不導体化する。
こうなってしまうと、物理化学的にどうやってもめっきが付かない状態となるため、無めっき不良が発生する。
これを改善するためには、砂を化学的に溶解可能な強酸を用いて処理するしかないが、そんなことをしたら砂より金属のほうが優先的に溶かされるので、寸法精度は言わずもがな、それまで母材内部で眠っていた引け巣(ピット)が表面に顔を出して新たなピットが発生し、そこから油を噴き出す可能性が高い。
また、モノによってはめっき中にめっき液の中で砂が表面からはがれてめっき槽に落ちることがある。
こうなるとめっき液に不溶性のスラッジの様なものがたまり、別の製品の表面に付着残留するとめっき不良の原因となるので、このような製品にめっきをする際は常時連続ろ過を行い、こまめにろ材を交換する必要がある。
そもそも非金属介在物を溶かせるほどの強酸は非常に高価で、使用後の排水処理コストも非常に高いうえ、余った強酸の管理負担もデカいので、可能な限り使いたくないのが本音。
非金属介在物が発生している製品は、めっきに出す前にきちんと物理除去してからめっき屋さんに依頼するのが最低限のマナーといえる。
偏析した溶質金属がめっき液を汚染し、めっきを不良にさせる。
鋳物やロストワックスの鋳造法案の条件によっては、溶湯が冷えて固まる際に特定の溶質金属が表面に凝集されて偏析を起こしてしまうことがある。
この偏析状態は様々で、特定の金属単体が大きな塊となって現れることもあれば、結晶粒度欠陥により肥大化した結晶の結晶粒界部分に小さく広く偏析することもある。
偏析物は鋼種によって違うが、この偏析物がめっき液とにイオン化して溶け込む組み合わせであった場合、めっき液に偏析物が不純物として溶け込むことでめっき液が汚染されてしてしまう。
本来そのめっき液中に存在しない偏析物がめっき液に溶け込むと、めっきの被膜の特性が以下の様に低下する。
- めっき被膜が変色(めっきの色が黒くなるなど)
- めっき被膜の内部応力上昇(めっきが割れる)
- めっき被膜の耐食性低下(すぐに錆びる)
これらの悪影響はすべて、めっき液に溶け込んだ偏析物が不純物としてめっきの被膜中に拡散析出(混ざった状態で析出)してしまうことに起因するので、不純物をめっき液中から除去するほかない。
この場合のメンテナンスは非常に厄介で、めっき液中にイオン化して溶け込んだ偏析物(不純物)は目には見えず、以下の部分が誰にもわからない。
- どれくらい不純物が溶け込んだか
- どれくらい除去を行えばよいか
- 不純物除去処理で何の成分がどれくらい減るか
これまたメーカーさんにメンテナンスを依頼するしかなくなることが多く、不純物が許容範囲を超えている場合はめっき液を全交換するしかないためコストがかかる。
自社でメンテナンスできたとしても、除去処理を行うたびに捨てめっきを行って外観や被膜特性の観察を繰り返して悪影響を抑制していくしかないため、結局はどちらにせよ恐ろしく時間とコストがかかる。
偏析している可能性のある製品をめっきに出す場合は、事前にきちんと均質化熱処理を行ってから依頼するのが配慮というもの。
ここまで読んだうえで、さらに”特定のめっき液の温度を一定に保ち続けなければならず、休みの日でも蒸発した分のめっき液を補給しなければならない”という条件まで付くわけですから、
なぜめっき屋さんが長期休暇を取る余裕がなくなるのか、もう皆さんおわかりになられますよね。
これが、めっき屋さんのリアルです。
めっきを知らない人からしたら、そこまでしないといけないのか?!?!?と驚かれることと思いますが、めっきの品質を高いレベルで保つならここまでして初めて”最低限”のレベルです。
そして、ここまでのことを息をするように平然とできない時点で品質なんて知れてます。
- めっきをする前の状態がどうか
- めっきをどのように行ったか
このふたつの要素が複雑に絡み合って最終的な品質となって現れる。それがめっきです。
今、めっきで頭を悩ませていらっしゃる方、こういった部分をぜひよくよく考えてめっき屋さんにしっかり相談なさってください。
めっきのことまでよくわからんわという方は、ぜひとも私たちにいちどご相談なさってください。
