本日は洗浄液の全交換です。

当ブログを見て下さっている皆さんこんにちは。1級めっき技能士の稲尾です。

まずは弊社の亜鉛めっきラインにある洗浄液槽をご覧ください。

とても年季が入っているステンレス製の洗浄槽です。私と10歳くらいしか違いません。

洗浄糟のサイズは2500(W)×700(D)×700(H)で容量は1200Lもあります。弊社最大クラスの大きさです。

フチについている白いものは固形化した苛性ソーダです。

なぜこれがフチにつくのかというと、洗浄液(脱脂液)の主成分が苛性ソーダ(NaOH=水酸化ナトリウム)だからです。

これが由来でめっきの洗浄液は別名アルカリ洗浄(脱脂)ともいわれます。

1200Lもある洗浄液を人の手でケミカルドラムに移し替えると恐ろしく手間がかかるので、いつもお世話になっている産廃業者さん(日工株式会社さん)にバキュームで直接吸い取って貰い、そのまま産廃処理して貰うことにしました。

本日は亜鉛めっきのラインとは別に黒染めのラインにある脱脂液も処理していただきました。その時の様子をご覧ください。

見てくださいこの吸引力!!ダイソン顔負けのスピードでみるみる液が減っていきます。

やはり専門業者さんに処理をしてもらうと爆速で綺麗になりますね。最終的に下の写真の様になりました。

こんなに綺麗になるなんて流石です!

後はここに新しく洗浄液を建浴すれば、本日の建て替え作業は無事完了です。

これでまた、洗浄品質を維持したまま作業に当たれるようになりました。

いつもお世話になっている産廃業者さんが槽の隅々まで綺麗に掃除してくださったおかげです。

ありがとうございます!また、よろしくお願いします!!

めっきの洗浄液ってなに?

答えを最初にいうと、めっきの洗浄液とはいわば油を取るための脱脂液です。

めっき屋さんに来る金属製品は、それまでの工程で様々な油が付着しています。

この油とは、

  1. 切削加工時に用いる切削油
  2. プレス加工に用いるプレス油
  3. サビないように塗られる防錆油や摩擦を軽減するグリース

等々、例をあげればキリがないほどたくさんの種類の油が表面に付着している状態で納入されてくるのです。

これなんかいい例ですが、茶色になっている部分は油と錆がいっしょになって固まっている部分です。

油が残っているだけでめっき液は弾かれてしまいますから、当然このままでは茶色い部分にはめっきができません。

そこで、洗浄工程で下の写真の様に綺麗にするわけです。

ここまで油と錆を綺麗に完全除去して、初めてめっき をする事が可能になります。(この場合は黒染)

ご覧ください。ムラなく綺麗に黒く染まっているのがわかりますね。

洗浄(脱脂)は、めっきの仕上がりを左右するため重要な工程なのですが、洗浄液は使用するにつれて液中に油分が蓄積して脱脂能力が低下していきます。

したがって、定期的な洗浄液の交換によって洗浄品質を維持する事が必要不可欠なのです。

めっき屋さんの定期メンテナンス

めっきにおいて最も基本かつ重要なメンテナンスといえば「各処理液の管理」です。

めっきのラインにある複数の処理液うち、どれかひとつでも状態が悪くなってしまうと途端に良いめっきはできなくなってしまいます。

そうならないために定期的なメンテナンスを行うわけですがここで厄介なのは、

  1. 処理液の状態は見た目だけでは劣化具合がわからない
  2. メンテナンスしない方がコストを安く抑えられる

ということです。

処理液の種類や管理の仕方については各めっき屋さんで様々あると思いますが、弊社ではこのようにして品質維持に勤めております。

当ブログをご覧いただいている皆様、安心して当社へめっきのご依頼をどしどしお申し付けください。

以上、よろしくお願いします。